司会者事務所 Office AYANA

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【代表コラム】AI音声のニュースから考える「声の権利」と、人間くさい手仕事への想い

テイラー・スウィフトさんがAIの不正利用対策として「自分の声」を商標登録したというニュースがありました。この記事を読んで、改めて「声の権利」と「私たちの働き方」について深く考えさせられています。

現場でお会いする方々から、別れ際に「声を大事にね」と温かいお言葉をよくいただきます。

声をかけてくださるのは、私のストイックさや、案外そう見えづらい「この仕事の過酷さ」を深く理解してくださっている方々。そのありがたい言葉の数々に、いつも心があたたまり、深く胸に染み入っています。

フリーランスのアナウンサーとしてマイクの前に立ち続けて13年。これまでは「酷使しがちな喉をケアする」という物理的な意味で受け取っていましたが、最近はその意味合いが少し変わってきました。

声を大事にすることは、からだを、こころを大事にすること。そしてそれは、「私自身を大事にすること」に直結しているんだと強く感じています。声は、その人自身のアイデンティティそのものだからです。

福岡のアナウンサー・司会者 平野綾菜が、鏡に映った自分と手を合わせている様子(モノクロ写真)

「無」からつくりあげる愛おしい手仕事

イベントや式典の現場は、1秒ごとに細かな進行や設定が組まれています。

クライアント、代理店、企画者、ディレクター、アシスタント、そして私たち司会者。そこに出演者や観客の皆様、スポンサー等々も加わり、ひとつの空間ができあがります。何もないところから考えると、まさに「無」からつくりあげる創造物。改めて考えると、本当にすごいことだと感じます。

関わる全員がそれぞれに「実現したい世界」を持ち、共通の正解に向けて自分のルールを持ち寄り、その場で細かな軌道修正を繰り返しながら、この空間を創り上げていくのです。

最近、この過程がどれほど泥臭く、愛おしく、そして非常に「人間くさい手仕事」であるかをまじまじと実感しています。私は、そんな血の通ったこの現場の空気が大好きです。

と同時に、長くこの世界にいるからこそ、これまで当たり前だと疑わなかった「業界特有のルールや働き方」に対して、時に「?」と感じることも増えてきました。

大好きな世界だからこそ、ただがむしゃらに身を、声を、削るのではなく、私自身が身をもって「働きやすく、長く続けやすい環境」を整備していきたいと考えています。

少しだけ「楽をする方法」も覚えてきた今だからこそ。(ホームランを全球打てるのに、あえて狙って2塁打に流し打ちできる司会者はなかなかいないと先日お褒めの言葉をいただきました。褒められているのか?笑)

自分の熱量を込めて全力で取り組む部分と、技術の力を借りて「楽をする(仕組み化する)」部分。その緩急を持った、しなやかな働き方を体現していきたいと思っています。

次なる挑戦への決意

私自身、日々の業務で様々なAIツールを活用しており、その技術の恩恵は身をもって体感しています。

しかし一方で、今の法律はまだそれに追いついておらず、自分の分身とも言える「声」が法的に守られていない環境があるのも事実です。

だからこそ、私はこの環境を自らの手で整備したいと強く決意しています。

今、こうした課題に正面から向き合い、「声」を守り、正しく繋いでいくためのエコシステムとプラットフォームを作るべく、新たな挑戦への準備を少しずつ進めているところです。

人間くさい手仕事の温もりを大切にしながら、誰かの大切なアイデンティティである「声」が搾取されることなく、安心して社会に響き渡る世界を作るために。

そして、声を扱う私たちがもっと健やかに働き続けられる未来のために。

まずは自分自身の心と体をしっかりと整えながら、次なる大きな一歩に向けて着実に進んでいきます。

また時期が来たら、この場でもきちんとお知らせさせてください。

これからも、Office AYANAならびに今後の活動を、どうぞよろしくお願いいたします。